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お絵かき&雑記
『届かない』その2
2010-11-29 Mon 00:19
『届かない』その1の続き。

蓉子視点
白き花びらの頃


☆ ☆ ☆

「聖がね、あんな顔で笑うの、初めて見たのよ。」
「え?」
窓辺に腰をかけて紅茶を飲む白薔薇さまの呟きは唐突で、私は上手く答えることが出来なかった。
―いや。多分、話題が聖の事でなければ、無難な返答をする位の事はいくらでも出来ただろう。そんな私の事を見抜いているのか、白薔薇さまは私に向かって柔らかく微笑んだ。

何故だか白薔薇さまの目を真っ直ぐ見る事が出来ず、私は咄嗟に目を逸らした。


それは冬のある日。
他のメンバーが部活や掃除、進路相談等々で遅れて、薔薇の館には珍しく私と白薔薇さまの2人きりだった日のこと。

◇ ◇ ◇

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『“好きな人の好きな人”を好きになるとは限らない』後編
2010-08-02 Mon 00:21
SS『“好きな人の好きな人”を好きになるとは限らない』後編

聖、高校2年梅雨あたり?
SRC視点/SRC×聖

前編

☆ ☆ ☆

「私ね、あなたの事よく知らないから。」
「は?」
「興味があるのよ。あなたがどんな人間なのか。」
私の言葉に、佐藤聖は訝しげな表情を浮かべる。
私は、その表情に満足しながら、言葉を続ける。

「ねぇ、あなたってどんな人?」
「…。」
佐藤聖は、眉間に皺を寄せて私から目を逸らす。
“構わないでオーラ全開”
けれど、そんなもの私には通じない。
「あら、困っている?」
私は意気揚々と問いかける。

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『“好きな人の好きな人”を好きになるとは限らない』前編
2010-07-12 Mon 00:32
SS『“好きな人の好きな人”を好きになるとは限らない』前編

聖、高校2年梅雨あたり?
SRC視点/SRC×聖

☆ ☆ ☆

梅雨は嫌い。
ジメジメと湿気を帯びた空気が体中にへばりつくようで、身体ばかりか気持ちも重くなる。

空は今にも雨粒が落ちてきそうな、つかの間の曇り。朝からの雨で濡れたアスファルトは、所々に水溜りを作り、そこを歩く者の足元を静かに狙う。
そう、今の私がまさにその被害者の一人。注意深く足元を見ながら、帰路に向かった。が、道一杯に広がる水溜りを前に、私はあまりにも無力だった。
歩くたびにビチャビチャと不快な音をたてる足を引きずり、辿り着いたのは薔薇の館。今日は会議はないけれど、このままの姿で満員のバスに乗る気がしなかった。紅茶で温まって、気休め程度でも靴下と靴を乾かす。その間にバスもラッシュを過ぎるだろう。


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『あなたにしか見せない』
2010-01-14 Thu 02:39
SS『あなたにしか見せない』

聖高校1年次
聖視点/聖×SRG
前にUPしたマンガの切れ端の続き…というか何と言うかSSです。

☆ ☆ ☆


「面白いものが、見られるわよ。」
そう言われて、紅薔薇のつぼみにほぼ強制的に引っ張っていかれたのは、放課後。
連れて行かれた先は、なんてことはない中庭だった。

「何ですか?面白いものって?」
「ここに居れば、わかるわ。」

木の茂みの影。
紅薔薇のつぼみは、何が楽しいのかニヤニヤしながらその影にしゃがみこむと「ほら、あなたも。」と私の腕をひく。どうしてわざわざ、こんな所で紅薔薇のつぼみと2人で過ごさなければならないのか。私は溜息を一つつき、仕方なくその場にしゃがむ。


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魔法みたいに
2009-12-24 Thu 23:43
SS『魔法みたいに』

聖視点/聖×志摩子
聖高3夏頃


☆ ☆ ☆

その道を通ったのは、本当に偶然だった。

暑い暑い夏の日。太陽は晴天の真上。ジリジリと地面を焦がしている。
木の陰を選んで歩き、薔薇の館に向かった。
テスト前という事もあって会合はないけれど、この暑い中、日光がさんさんと降り注ぐ校門までの一本道をこれ以上歩く気がしなかった。そこで薔薇の館で涼んで帰ろうと思い立ったのだ。クーラーこそないが風通しがよく静かな薔薇の館は、会合やお茶会がない時に限って言えば学園内での私のお気に入りの場所だった。

そして、程なくして道の中ほど、大きな銀杏の木の下に志摩子を見つけた。

その姿に私は硬直する。
少し遠回りになるけれど、仕方がない、道を変えようと、方向を変えかけて気が付いた。
志摩子は先程からずっと木の上を見つめている。
1本の木の下で、わき目もふらずにジッと上を見上げている。

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